第26話・ラビット流選挙

 はじめに
 さてさて、今回の外伝は、ラビが選挙管理委員長をやっていた頃のエピソードをお贈りします。学生の誰もが興味を示さない選挙の運営をやる破目になったラビは、一体どんな行動をとるのか!?
 前置きは、この位にして本編のスタートで~す!
                              
 学生自治会総選挙。
 これは、学生自治会の次代の役職を決定する選挙なのであるが、一体、我が大学の学生で選挙について正確な知識を持っている者はどれ位いるだろうか?おそらく、余裕で数えられる程度であろう。そんな、形骸化した選挙戦の管理職に就いたのが、我らがラビであった。
 この就任劇の背景には、先代の自治会の大将・ヤマシンの影がちらほらと見え隠れする。ラビと海ちゃんが住んでいた下宿・銀花荘つながりで、2年生になってもヤマシンの忠実な後輩を演じていたラビがヤマシンの頼みを断れるはずも無く、二つ返事で承諾したらしい。
 このニュースを海ちゃんとみっつも聞いてはいたのだが、最初はラビがなにやら会議なんかに参加しているらしいというくらいしか情報がなかったのだが、実際に選挙戦が近づく事で、初めてラビの苦しい立場が理解できた。

 ある日、大学内の某ロビーを歩いていたみっつは、選挙参加者が街頭演説をしているのを見た。内心では、
 (選挙の時期は、やかましいよな~。大体、大学の選挙はつまらないよな。選挙なのに候補者が1人しかいないし、わざわざ街頭演説なんかするなっての!)
 と、かなり毒づいていた。だが、その街頭演説の群れの中にラビの姿を確認し、かなり驚いた。
 みっつ 「お、おい!ラビよ。ここで、何やっているんだ!?」
 ラビ 「よ~。お前も投票して行ってくれ~。」
 みっつ 「選挙管理委員長だから選挙の手伝いしているんだな~。いいよ、書いてやるよ。」
 ラビ 「お、悪いな~。」
 その日の夜、みっつは海ちゃんに電話した。
 みっつ 「そういえば今日、ラビの奴がさぁ~。」
 と、事細かに今日の出来事を語ったところ・・・。
 海ちゃん 「え?みっつ君も書いたんですか~?実は僕もなんですよ~。では、みっつ君は、何票位書いたんですか?エヘヘヘヘ」
 みっつ 「え?海ちゃんは、何票か書いたの!?」
 海ちゃん 「そうですよ~。2票ほど、ラビに泣き付かれて仕方なく書いたんですよ~。エヘヘヘヘ」
 みっつ 「あの馬鹿、初日から違法投票かよ!ほんと、どうしようもない奴だな~!」
 海ちゃん 「そうですよね~。でも、選挙期間はラビのバカさ加減を堂々と笑いに行けますね~。エヘヘヘヘ」
 みっつ 「流石、悪だね~!よし、俺は毎日でもからかいに行くよ~!」
 ラビを馬鹿にすることを生きがいにする2人にとって、選挙で呼びかけを行うラビは正にまな板の上の鯉であった。いや、ラビだから鯉でなく兎かな(笑)
 海ちゃんとの口約通りに、みっつは翌日も選挙を手伝うラビに会いに行き馬鹿にして来た。それから、毎日のように会いに行ってはラビに罵声を浴びせていた。既に、日課と化していた。しかし、みっつも鬼ではないので、行く度に投票をしてやった。そして、最終日。
 みっつ 「よう、ラビ!今日で最後だから大サービスで3票投票してやるよ!」
 ラビ 「いつも、すまないね~。」
 みっつ 「結局、俺1人で10票近く投票してやったな~。感謝しろよ~!」
 ラビ 「いつも、すまないね~。」
 もはや、完全な不正選挙である。だが、今は体面よりも1票でも多く投票して貰い、無事に選挙が終わる事だけを願うラビは平気な顔をしていた。流石は外道。後ろ暗い事が絵になる男である。
 結局、ラビの破れかぶれの選挙行為の効果があったのか、選挙は無事に終了する事が出来て、ラビも選挙管理委員長をお役御免になり元の「野良兎」へと下野してしまったのだった・・・。
                              
 さて、いかがだったでしょうか?ラビは、あれで公務員志望だったのだから採用されていたら本当に恐ろしいですね・・・。
 この話が、HP立ち上げ前から書いていた最後の作品なので、ストックが無くなってしまいました(汗)とりあえず、外伝の次回は未定です~。では「番外編」や「娯楽天国」をお楽しみに!

※この物語は事実を元に構成されたノンフィクションです。
           [総監督・原作・監修] 海ちゃん
           [脚本・シリーズ構成] みっつ


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